私が今関わっている子ども(小学部4年女児)は、必要がない時に頻繁に上履きと靴下を脱いでしまいます。しばらくデータを取ってみたところ、脱ぐのは「暇で何もすることがない時」「大人(教員)の関わりがない時」「授業が終わって一段落してリラックスしている時」に多いことがわかりました。
更に脱ぐ直前と脱いだ直後に、脱いだ靴下を手に持って振り教員に対して「脱いだぞ」と言わんばかりにアピールする(靴下を持ち振って教員に見せながら、声を出す)」のです。
以上のことから、この“かわいい”行動問題は「確立操作」として「暇」「ひとりぼっち」という状況があり、「行動の機能」としては「注目獲得」「感覚刺激」があると考えられました。
そこで、「靴下を脱いでもできるだけ放っておく(関わらない)」一方で、「呼び鈴を鳴らして教員を呼んだらそれに応えて遊んでやる」ことにしたのです。これは、不適切な行動(この場合、靴下脱ぎ)には注目せず「消去」し、反対に適切な行動(この場合、呼び鈴を鳴らして教員を呼ぶ)は「強化」する(この場合、遊んでやる)ことを同時に行ったわけです。
このようなメリハリのある対応を「分化強化」というのですが、特にこのケースはDRA(代替行動分化強化)あるいはDRC(コミュニケーション行動分化強化)、FCT(機能的コミュニケーション訓練)と言います。
1週目はBaseline期として、特段の介入なしでデータをとったところ、靴下脱ぎの回数は最高で1日あたり16回ありました。そして、2週目に入って、前述のIntervention(介入期)を行ったところ、平均して5回程度までに下がりました。こうして、「分化強化」は非常に効果的なことが実証されました。