ABAに基づく子どもの指導原理

子どもの行動はざっくり言って、2種類あります。それは、①少ないので増やしたい、“望ましい”行動(適切な行動)と、②多すぎるので減らしたい、“困った”行動(不適切な行動)ですが、いずれの場合でもその対処にはABA(応用行動分析)は有効な手立てとなります。

ABAの考え方の基本は、行動の原因を個人(子ども)のせいにするのではなく、個人を取り巻く環境との相互作用の結果として捉えることです。ここで言うところの環境とは、物理的な状況もありますが、人的な状況も含まれます。人的な状況とは子どもの場合、大人の関わり方の影響がとても大きいのです。

ABAでは、行動をその前後の出来事も含めて、3つの枠組みで考えます。その3つの枠組みとは、①行動の直前の出来事、これを「先行事象」(Antecedent:略してA)と言い、②目に見えるものを「行動」(Behavior:略してB)と言い、③行動の直後の出来事、これを「結果事象」(Consequence:略してC)と言います。これを図式的に書けば、「先行事象(A)」→「行動(B)」→「結果事象(C)」となり、それゆえにこの3つの枠組みのことを「ABCフレーム」と言うこともあります(専門的には「三項随伴性」と言います)。

この3つの枠組みの関係ですが、行動の前後の状況、すなわちAとCが行動を増やしたり減らしたりすることに大きく影響しています。なかでも特に、Cの果たす役割が大きいのです。このCが行動に与える影響には、次の4つのパターンがあります。

 ① 「好ましいことが起きる」という結果が生じる→行動は増える
 ② 「嫌なことがなくなる」という結果が生じる→行動は増える
 ③ 「好ましいことがなくなる」という結果が生じる→行動は減る
 ④ 「嫌なことが起きる」という結果が生じる→行動は減る

このように結果事象に基づいて、行動は増えたり減ったりするわけですが、この4つのパターンにはそれぞれ次のように名前が付いています。

 ① 正の強化
 ② 負の強化
 ③ 負の弱化(罰)
 ④ 正の弱化(罰)

この場合の「強化」というのは「行動が増えること」、「弱化」(罰)というのは「行動が減ること」を意味していて、「正」というのは「何かが付け加わること」、「負」というのは「何かが取り去られること」を意味しています。

この4つのパターン以外に、行動が減るもう一つのメカニズムがあります。それは、「行動しても、何もいいことが起こらない」、つまり、行動の前と後で何の変化もないと、以後その行動は減っていくのです。例えば、子どもがお手伝いをしても(行動)、褒められない(結果事象として、「強化」されない)と、その子どもは段々にお手伝いをしなくなっていくことでしょう。このメカニズムを「消去」と言います。これを図式的に表すと、「先行事象(いいことなし)」→「行動」→「結果事象(いいことなし)」ということになります。

この5つのパターンを使って、最初に挙げた子どもの2種類の行動へ対応していけばよいのです。すなわち、今後増やしたい、“望ましい”行動は「強化」で対応し、今後減らしたい、“困った”行動には「消去」か「弱化」で対応すればよいのです。ただし、「弱化」(罰)には、①それを使う側に乱用してしまう危険が伴う、②やられた子ども自身が罰のやり方を学習して、他の弱い子どもにやってしまう危険が伴う、③罰がかえって強化として作用する場合がある、などの問題点があるので、“困った行動”を減らしたい場合には基本的に「弱化」(罰)は使いません。あくまで、「強化」と「消去」を組み合わせて(これを専門的には「分化強化」と言います)、対処していきます。「弱化」(罰)はその問題行動に緊急性がある、重篤であるなどの場合の最終的な手段です。それでも、体罰は絶対にやってはいけません。

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