応用行動分析(Applied Behavior Analysis:ABA)は、アメリカの心理学者スキナー(Skinner,B.F.)によって創始された行動主義心理学を基盤として発展してきた、行動分析学の一分野です。発達障害への支援だけでなく、教育学、医学、経済学、看護学、スポーツ、産業など多様な分野で活用されています。特に、発達障害に関しては、応用行動分析は様々な発展を遂げ、認知行動療法(CBT)、ソーシャルスキルトレーニング(SST)、ペアレントトレーニング(PT)といった行動療法の治療体系の一部となっています。
応用行動分析を発達障害に適用し、研究でその有効性を最初に明確に示したのは、ロヴァス(Lovaas,I.)です(上の写真の右側の人物)。ロヴァスはDTT(Discrete Trial Training:不連続試行法)を開発しました。日本ではこのやり方がABAの手法として最初に導入されたこともあって、日本の発達障害の分野で「応用行動分析」というと、このDTTを指していると思っている人が多いのですが、応用行動分析はメソドロジー(方法論)であるため、実際にはDTTとイコールではないことに留意が必要です。つまり、DTTはABAの原理に基づく技法の一つであって、ABAの原理に基づく指導・支援の技法には他にも様々なものがあるということなのです。